未完了を遺さない逝き方

夫の祖父(90代)が亡くなる1年前のこと。
まだ元気でしっかりしていたおじいちゃんは
3人の子どもに生前贈与をしました。

孫である夫にも、おじいちゃんは贈与として
返済中の借金の残額を帳消しにしてくれました。
夫が社会人大学院の学費用に借りたお金です。

現金を贈るのではなく、なぜそうしたのか。
孫の中で夫だけお金をもらうと不公平だからなのか
夫の身内のことなので、わたしにはわからない。

でも、わたしは「きっと、おじいちゃんは
未完了の事柄を片付けておきたかったんだ」と
勝手に思っている。

借りた方の、全額返せなかったという心残りや
貸した方の、返してもらっていないという気掛かりは
おじいちゃんが亡くなってしまったら果たせない。

おじいちゃんは何度か遺言状を書き直していたらしい。
生前贈与をした時に最後の遺言状を残したんだろう。
おじいちゃんの遺産は遺言状に則って相続された。

身内を亡くした家族の心は、悲しみだけではなく
抑えていた気持ちや隠していた気持ちとか
いろんな感情で揺れ動く。黒い気持ちも蠢く。

やっぱりわたしは「きっと、おじいちゃんは
自分と家族の気持ちを整理して心置きなく逝ったんだ」
勝手にそう思っている。

心残りを残さない生き方。
未完了を遺さない逝き方。

さすが!おじいちゃん。

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