こどもの夢を壊そうとするサンタ婆

実母と同居して2年目のクリスマスは
実母である座敷婆がサンタクロースだった。

当時、長女は3歳、次女は1歳。
クリスマスやサンタの存在を知り始めて
何でももらって喜んでくれる年頃。

クリスマスを前にして
クリスマスプレゼントを買ってあげると
座敷婆が言ってきた。

わたしは、母にモノを買ってもらうのが
ものすごく嫌だったが、買う相手は孫。
孫を可愛いと思ってのことだろう。

その気持ちは拒めないと思ったので
それではお言葉に甘えて、とお願いした。

クリスマスの朝、プレゼントを見つけて
こどもたちは大喜び。

もふもふしたキティちゃんの赤い手提げバッグ。
ピンクのニット素材のマイメロのショルダーバッグ。
しかも、お菓子入りの大きな赤いブーツもある。

年齢や好みに合ったグッドなチョイス。
長女も次女も、それはそれは大喜びしていた。

「サンタさん、ありがとう!」
プレゼントを抱きしめてお礼を言っている。

わたしも夫も嬉しそうなこどもたちが微笑ましく
「サンタさんにプレゼントもらえてよかったなあ」
と一緒になって喜んでいた。

座敷婆も、、、笑っていた、、、いたのに
突然、表情が変わった。

「フン💢なんやのっ!ワタシが買うてやったのに」
不満たっぷりに言い放った。

わたしと夫は、座敷婆の声をかき消すために
意味のない叫び声をあげて必死でごまかした。

その叫び声は、こどもたちの歓喜の声にまぎれて
こどもたちの耳には届かず、事なきを得た。

自分に感謝してほしかったサンタ婆。

けどなあ、クリスマスの主役はこどもで
サンタクロースは脇役、黒子なんだよ。

うちには煙突がないからサンタは来ない
と言われて育ったわたしには、こどもの夢を
ぶち壊す言動は想定内だったかもしれない。

翌年から、サンタ婆が現れることはなかった。

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