母も「泣くことがあるんや」。
わたしがそう思ったのは、たしか小5の頃。
母の一番上の姉のお葬式に行った。
葬儀の前、自宅で棺に入った長姉に向かって
「こんなとこ、入ってしもて……」
そう、母が悲し気に話しかけた。
クスンと鼻を鳴らした母の姿が意外で
わたしの印象に残っていた。
わたしは本を読んでもドラマを観てもすぐ泣く。
普段、感情を抑え込んでいたから
そんな機会に感情を解放していたように思える。
母は感動して泣くとかなくて、テレビを観て
ぽろぽろ涙を流すわたしの隣りで無反応でいる。
泣いているわたしが気まずくなった。
母が泣くような一般的なシチュエーションとして
わたしの小中高の卒業式や祖母の葬儀などがあった。
だけど、母が泣いていた記憶はない。
わたしが乳がんになった時は泣き出しそうな顔を
していた。母は一人で泣いたと言っていたが、、
わたしの結婚式で、母への手紙を読んだ時は
母は神妙そうに俯いたり、鼻をすすったりした。
傍から見たら場面に合ったしぐさではある。
でも、どこか違和感があるんだ。
実は、長姉のお葬式で、母の涙は見ていない。
母がクスンと鼻を鳴らしたのを見ただけだ。
そして先の、小5のわたしが体験したシーンは
どん詰まりになった母娘の前に現れた救世主の
お葬式で再演された。
「こんなとこ、入ってしもて……」と
母は、棺の中のIさんに話しかけていた。
瞬時に小5の思い出が蘇った。
たぶん、わたしだけが感じる違和感。
母に感情をコントロールできるような冷静さや
気丈さはない。衝動的な感情はすぐ顔に出る。
でも、涙を流すことはない。
複雑で繊細な感情を母が持っていたとして
語彙力のない母に言葉で表現するのは難しい。
考え過ぎじゃないの?って人に言われそうだけど
長年、母を観察し続けてきたわたしは
お葬式での母の言動はパターンなのだと思った。
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