幼い頃の引っ越しの記憶

年長児になったわたしが
おばあちゃんちに預けられるまでの
3〜5歳の間、三回は引越しをしました。

一番最初は
田舎ではなく、街に住んでいました。
母子で住込みで働いていたのでしょう。

誰もが知る川のそばの保育園か幼稚園に
通っていた記憶が残っています。

「お母さんが一人で帰っといでと言った」
と、言い張って歩き出したわたしの後を
先生が追いかけてきたことがあったような。

その次は
寺の境内の納戸みたいな部屋に住んでいました。

畳んだ布団の前で、母と二人しゃべっていたのを
ぼんやりと覚えています。

風呂はなく、土間にたらいを置き行水してました。
トイレは薄暗くて、肝だめしみたいだったな。

境内にある戸外のトイレに、母と行くのですが
木の扉がギィーと開くと、奥が真っ暗で。。。

三回目は
家の前に花や樹木が植えてあった平屋。

細い木の枝に人形の服を干したわたしに、母が
「そんなとこ干したら飛んでいくで」と言いました。

風邪でわたしが幼稚園を休んで、一人で留守番して
いた時に、飲み薬を一気飲みしたことがありました。
小児用シロップ、甘くて美味しくて(^_^;)。

また、近所のおばあさんの家に預けられて
火鉢の前で、腰の曲がったおばあさんと二人だけで
じーーっと座っていたことを覚えています。

母の職場まで、わたし一人で歩いて行って
母を驚かせたこともありました。

どの思い出にも、わたしには泣いた記憶がなくて
その時の気持ちも思い出せません。

きっと母は、こどもの病気や預け先に苦労して
わたしを実家に預けることにしたのでしょう。

母には、家柄も財産も学歴も美貌もありません。
手に職もなく、運転免許も持っていません。

自分一人の移動さえままならない母が、幼子を抱え
突然、働かざるを得なくなった大変さを察します。

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