物は無言で母の存在を感じさせる

空家賃を払っていた母のアパ―トを引き払ったのは
サービス付き高齢者住宅に正式に入居した1ヶ月後。

冷蔵庫やテレビなどの電化製品とか
秋冬の衣類を入れたプラスチックの収納ボックスとか
生活に必要な日用品は、すでに母の居室に運び込んだ。

1人で運べない大きな物は、夫に頼んで運び出したが
最後は、わたしが一気に一日で運び出した。
アパートの1階に住むYさんが手伝ってくれた。

Yさんが、押入れの布団の中から5千円札を見つけた。
布団にお金をしまう?隠す?心理って、なんだろうね。
親の家の片付けする人は、布団の隙間は要チェックだな。

Yさんに作業のお礼として5千円札をお渡しして
不要になった洗濯機も差し上げた。
母の洋服も「好みのものがあればどうぞ」と声をかけた。

そしたら、切り嵌め風のちりめん生地で
見るからにYさんが好きそうな赤や朱色の派手色使いの
ロングジャケットをもらってくださった。

お互いに屈託のないやりとりに、わたしも嬉しくなった。
母のこと、亡くなったIさんのこと、Yさんのことなど
話をしながらの作業は、物理的にも精神的にも助かった。

約半年の一人暮らし期間は、目まぐるしい変化の連続で
大変だったけど、このワンクッションがあったことで
物心ともに準備ができて、終の棲家に落ち着けた。

困ったのは、我が家に戻ってきた母の荷物の置き場。
母の部屋だった和室はこども部屋になっていたし
家の中に置いているだけで気が重い。

物はしゃべったりしないのに、母を語ってくる。
母は施設に居るのに、わたしの目の前にいないのに
母の物が、母の存在を意識させた。

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