人生の課題は病気ではない

32歳、独身、人生最大のピンチの中で
わたしが苦しんでいるのは、病気ではなく
母の存在だということに気づきました。

乳がんの告知を受けて、一番苦しかったのは
母に話さなければならないことでした。

あの母には、受けとめきれない。
話さずに済むなら、黙っていたい。

でも、入院は2週間、手術の同意書も要る。
実家暮らしでは隠しておけません。

乳がんの告知後、相談したのは親しい女友達。
しこりを「触らせて」と確認してくれました。

頼りになる彼女に、診察に付き添ってもらい
医者の説明を聞いて質問もしてくれました。

わたしは、家族のような存在に支えられて
手術を決意する気持ちになっていけたのです。

母に話す時には、わたしも落ち着いていました。
母は、ショックを受けて半べそをかいていました。
母が言ったのは「アンタは強いな」のひとこと。

明くる日の早朝、母が仕事に出かける物音がしました。
いつもと違う気配から、母の心情が伝わってきました。

力なく足を運んで出ていく、消え入りそうな足音。
キィと乾いた音を立て、ゆっくり静かに閉まるドア。

壁の向こう側にいる
うなだれて肩を落とした母の姿が見えてきました。

母の一挙手一投足に、わたしの全神経は向けられて
自分の感情が支配されているようです。

母を悲しませていると思うと
わたしは寝床の中で、胸をかきむしっていました。

死の恐怖よりも、乳房を失うことよりも
わたしの心を締めつけてくるのは、母という存在。

この時に
わたしの人生の課題は病気ではないのだと悟りました。

ただ、この時のわたしは、母が悲しんでいるのは
わたしのことを心配しているからだと思っていました。

でも、母が感じていたのは、一人になる自分の心配と
不安だけだったのです。それに気づいてしまいました。

わたしに結婚の本気スイッチが入った瞬間でした。

死を意識してしまう、がんという病気によって
自分自身の人生の課題や抱えている悩みの根本が
浮かび上がったのは、わたしだけではなかったのです。

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