自分のことしか考えられない

母の自己中心的な独り言を聴いた時が
結婚の本気スイッチが入った瞬間でした。

当時のわたしは、母の自己中を
ひとりぼっちになる自分の心配をしている
だけだと思っていました。

でも、母が自分のことしか考えられないのは
心配や不安、娘への執着が原因ではないのだと
のちのち、わかってきました。

周囲のことをまったく考えていない母の言動に
血の気が引いたことがあります。

乳がん検診に1歳頃の長女を連れて行く事情になり
母に子守を頼んだ時のことです。

わたしが検診を受ける短い時間、病院の待合室で
母に長女を見ていてもらうことにしました。

その病院は、名高い乳がん専門の個人病院。
広くない待合室に空席なく人が座っていました。

わたしたち3人も座って、診察を待っていると
唐突に、母が知人のうわさ話を始めました。

ごく普通に
待合室にいる人みんなに聞こえる声で

「ちょっとアンタ、知ってるやろ。
前住んでた隣りのパーマ屋さん。〇〇さん
乳がんで亡くならはったんやって」

・・・絶句。ああ、なぜ、なぜ、今それを言う?
さすがにわたしも、母の無神経さに驚きました。

注意することも頭をよぎったけれど
母は同じことをくり返し言う人

話を止めることで、言葉がくり返されるのを
怖れたわたしは、「時よ、早く過ぎて!」と
心の中で手を合わせました。

待合室にいるのは、ほぼ100%、乳がん患者です。
精密検査前後のがんの疑いのある人。手術前後の人。
がんが再発、転移した人。がん告知直後の人。。。

みんな口をつぐんでいても
心中穏やかでないことは想像できそうなものですが
そんな意識は、母に感じられません。

かつてのわたしも不安を抱え、その場に居たのです。
わたしの入院先であり、母も何度も来ていたのに。

この時、母は66歳くらいです。
場の空気が読めない。人の気持ちが想像できない。
母の言動は、性格ではなく発達障がいではないか?

母に抱いていたかすかな違和感
二世帯同居で確信へと変わっていきました。

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