事実は小説より奇なりを体験

「あなたのルーツはお母さんだけではないのよ」
と、義母が父に会うことを勧めてくれ、わたしは
40代半ばで、離婚して別れた父に会う決意をした

わたしは自分の生まれた家に恐る恐る電話をした。
やはり電話に出たのは、兄の奥さんだった。
兄と電話がつながって近況を聞いた。

父の安否を聞くと、まだ元気でいるとのこと。
詳しい話は会ってからということで
兄家族の住む、わたしの生家に行くことになった。

娘2人を連れたわたしを
兄が最寄り駅まで車で迎えに来てくれた。

兄の家に着くと奥さんが食事の用意してくれていた。
わたしの娘たちと同じ年頃のこどもが3人いた。

わたしからの電話に全く動じていない奥さんの反応は
一体どういうことなのか、急いて聞こうとするわたしに
兄は「まあ、待て」と、ビールを差し出した。

兄夫婦は、わたしが結婚して地元から引っ越したことも
母と同居したことも、全部知っていたという。

そして、いつでも連絡できるし、いつか連絡があるかも
という気持ちで見守られていた。

なぜかというと、奥さんのお母さんが、わたしの母と
同じ職場で、母と年賀状のやりとりを続けていたのだ。

なんと!田舎せまっ!

そして、肝心の父は、介護施設に入所しているとのこと。
頭はしっかりしていて話もできるが、寝たきりだという。

定年退職後、建築現場でアルバイトをしていたところ
重機の運転者の操作ミスで、重機の先が頭に当たって
父は頸椎を損傷、首から下が動かなくなったという。

奇遇にも、父の介護施設は夫の祖父の家の近所だった。
こどもの時の妄想とは大きく違っていたけれど
ドラマみたいな話が続いて驚いた。

わたしたちは兄家族とともに、父に会いに行った。
電動車いすで移動する父と施設の近くのすし屋で
食事をしてから、父の居室で父娘2人になった。

当たり障りなく世間話をする感じで、話が続かない。
わたしは定期的に父を訪問をすることにした。

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