わたしが短大を卒業し、就職して稼ぎだすと
母娘のパワーバランスと恩の着せ方が変化した。
見捨てられる不安と孤独の恐怖を抱えていた母は
娘の自立を怖れていたのだろう。
卒業前は一人暮らしをしたいと思っていたが
やっと、自分のお金で欲しいものが買えるようになって
貯金もせず、給料はすべて自分の好きなように使った。
初めての賞与で車の免許を取り、ローンで車を買った。
母に、恩着せがましく言われることもなくなった。
すると、母の恩の着せ方は、微妙に変化していった。
ひとり娘のわたしの未来に取引を仕掛けてきて
次第に、取引金額は大きくなっていった。
それ以外には、わたしが家事をしない、何もできない
と言って、母が責め立ててくるようになった。
母は、仕事の出勤時間が朝早くて、夕方には帰宅する。
母が夕食を作り終えた頃、わたしが仕事から帰ってきた。
働きだしたわたしに、母は怒鳴り散らすようになった。
「アンタ、家のこと何もせんと!何もできひんでどうすんの!
結婚したらどうすんの!親の有難みがわかってるか!」。
わたしがしていた家事は、食器洗いや洗濯だった。
「やっぱりわたしって、親に甘えているんやな」と思いつつも
「こんなこと言われ続けるの、やってられんな」と思い始めて
就職2年目から、わたしは一人暮らしするために貯金を始めた。
わたしが「一人暮らししようかな」と、母に匂わせると
母は「なんで一人暮らししたいん?」と、聞いてきて
「親の有難みがわかるやろ?」と、わたしは返した。
「お母さんから離れたい」という本心は言えなかった。
就職して3年経つ頃に、念願の一人暮らしが実現した。
母に内緒で、物件を探して契約を済ませ、事後報告。
自分の軽自動車に荷物を積み込んで、自力で引っ越した。
初めて迎えた一人暮らしの夜、深い眠りについた。
朝、起きた時の、人生で初めて感じる爽快な目覚め。
自分の住んでいる世界が変わったようだった。
当時は、一人暮らしが始まる喜びだと思っていたけれど
後に、母娘問題を知って、母の呪縛を自覚して気づいたのは
あの爽快さは、しんどい母から逃れた解放感だったってこと。
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