どん詰まりになった母娘の前に現れた救世主の
Iさんは、母娘間の緊張を緩める時間をくれた。
ただし母は激しい感情はわたしにしか見せない。
夫や孫、Iさんの前では抑えていた。
一応、分別があったのだ。
夏の終わりにIさんと出会ってから
季節は春になり、長女が小学校に入学した。
当時、平日に週1回だけ仕事をしていたわたしは
仕事の日は長女と母とで留守番してもらう気でいた。
週1回、半日くらいなら大丈夫かなと安易に思った。
でも、入学後の2人の様子を見ていて気が変わった。
わたしは仕事から帰宅して、小学校から帰ったら
どんな風に過ごしていたのか、長女に聞いてみた。
長女は「家に帰って、ママが用意してくれたパンを食べた。
ばあばが『ちょっとちょうだい』と言ったから分けてあげた」
と言うのだ。数年前と、祖母と孫娘の立場は逆転していた。
仕事じゃないある日には
ホットケーキを食べ終えた長女が、コードをひっかけて
ホットプレートをつま先に落として、足の指を火傷した。
わたしが、お風呂場で長女の足を冷やしているところへ
2階から降りてきた母が「ケガしたんか」と声を掛けてきた。
その時のぼんやりした母の反応に、不安がよぎった。
2人で留守番中、もし長女にけがや事故など何かあったら
母に、適切な対応や処置が取れるだろうか。
起こった事実のままに詳細に人に説明できるだろうか。
認知症になってなくても、そう、あの母には無理だった。
冷静に考えると、長女ひとりで留守番させておくより
一見まともそうな母と長女を置いておく方が怖かった。
危うく長女をヤングケアラーにさせるところだった。
心細くて不安な思いを、微塵も長女にさせたくない。
わたしは慌てて学童に申し込んだ。
そうして迎えた、小学校入学後のGWに
認知症の疑いがクロになる決定的な出来事が起こった。
わたしたち家族4人が外出から帰ってくると
「自分の通帳から知らない間に50万円引き出されている」
と、母が言ってきた。
母は「ワタシは出してない」と言って
通帳の数字を見て、目を白黒させている。
わたしが「たぶん、5万下ろすところを指がブレてゼロを
1つ多く打ってしまったんちゃう?」と言えば
間違えたとして、その50万円が見当たらないという母。
母は、自分1人で銀行に確かめに行って
銀行の人とATMの監視カメラのビデオを観たという。
「ほら奥さん、自分で引き出しに来られてますよ」
と、お金を引き出したのは間違いなく自分であることを
確認させられて帰ってきた。
母は「おかしい、おかしい。どうしたんやろ」
と不信がって不安がって、でも50万円は見つからず。
このGWをさかいに
母は暗証番号を忘れてしまい、ATMが使えなくなった。
そして後に、その50万円は母の部屋から出てきた。
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