施設を嫌がっていた母は
一人暮らしで足を骨折したのがきっかけで
ショートスティから無事、正式に入居できた。
母が入居したサービス付き高齢者住宅というのは
介護スタッフが常駐している
高齢者のワンルームマンションみたいな施設。
6畳ほどの居室にトイレとキッチンがついていて
入居者同士が会食や歓談できる食堂兼ホールもある。
プライバシーが守られ、過ごし方に自由さがあった。
以前、見学に行ったグループホームのように
玄関が施錠されておらず、オープンな施設だった。
ショートスティ当初、3階の居室に入ったが
空きがでたので、1階に居室を移してもらえた。
母が認知症と診断された2010年当時
施設にはまだ空きがあった。
母が入居してまもなく、次々に埋まっていった。
本当にラッキーだった。
小豆バーが食べたくなる季節に逝ったIさんの
後を引き受けるかのように現れたケアマネTさんは
この施設に常駐の介護サービス事業所の責任者。
愛情深くて感情表現が豊か、かつ冷静で合理的で
感情というソフト面と制度や金銭などのハード面に
柔軟にアプローチできるバランスの取れた人。
わたしたち母娘の今日に至るまでを理解してくれて
世間一般の親子や母娘関係で一括りにしなかった。
わたしも母も支えられた。
わたしの目に焼き付いているのは
母をハグするTさんと
Tさんにハグされてまんざらでもない母の姿。
母が愛を欲しがっていることはわかっていたけど
わたしは母に近づくことができなくなっていた。
施設で迎える初めてのお正月が過ぎる頃には
母の情緒も安定していた。
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