母が買った500円のレースカーテンの話から
買い物つながりでわたしが20代の頃の話に飛ぶ。
よく母は、わたしを買い物に誘ってきた。
一緒に出かけると母は、食事をおごってくれたり
物を買ってくれた。
そして、母にお金を出してもらい得をしたわたしに
母は「海老で鯛を釣った」とお決まりの諺を言った。
しかし、母はわたしが欲しがるものは買わない。
わたしが「買って」とねだると「自分で買い」と言う。
わたしはお目当てのものを手に入れる術を覚えた。
気になる服を試着して、気に入ったらすぐ脱がない。
店員さんが「お似合いですね」と褒めて薦めてくる。
試着室の前でわたしは、着姿をチェックしながら
値札を見たりして買うか買わないか迷う振りをする。
母にねだったりしない。
わたしと店員さんとのやりとりを眺めていた母が
自ら「ワタシがお金出してあげるわ」と言い出す。
お金や物を与えることで高揚感を感じる母は
「海老で鯛を釣ったな」と言って満足気に笑う。
わたしは、してやったりと心の中で舌を出すが
もう、この一連のパターンにうんざりしていた。
Xmas前のある日、母とスーパーに買い物に来た。
レジの待ち時間にふと思いついて母を試してみた。
「コレ買って」と言ったらどんな反応をするだろう。
「コレ」は、サンタの服を着てお菓子入りの小さな
袋を背負った15㎝位のクマの人形。千円もしない。
母は「ええ?なんで?」と顔をしかめた。
わたしは、幼児が駄々をこねるようにねだって
欲しいものを買ってもらった。
いつになく、わたしは満足したが
母は困惑したようなすっきりしない表情をしていた。
いつもの「海老で鯛を釣った」が言えなかったから?
物を買い与えれば人は喜ぶと、母は信じているのでは
ないか。わたしはそう思っていた。
母が祖母(母の実母)にハンドバッグを買ってあげたと
いう話を聞いたのは、わたしが10代の頃。
「〇〇◯(母の名)が買うてくれた」「〇〇◯が」と
祖母は何度も言い周囲にも言いふらすほどだったらしく
「そんなに嬉しいものか」と母も感激したようだった。
でも、母が話すのを聞いていたわたしは
祖母が喜んでいるのはハンドバッグを買ってもらった
からだと、母が思っている気がしてならなかった。
寡黙な祖母が喜んでいたのは、娘(母のこと)が離婚して
困窮した生活から公務員になれて親にプレゼントできる
までになったことではないかと、わたしは思った。
母が思っていることを言葉で探るのは難しくって
あれもこれも、わたしの推測に過ぎないんだけどね。
★FBページ★で、2024年2月1日より月~金20時
わたしの母娘関係を幼少から時系列で定期投稿中。
★Xエックス★では
ブログ・FBページ更新のお知らせと日常を投稿。
フォローしてね (^^ ♪