わたしが長女に返したのは条件付きの愛

上手くいってると思っていた子育てが行き詰まった。

もう内容を忘れてしまったが、5,6歳だった長女が
誰かに対して意地悪な一言を発したことがあった。

「あれ?この子、こんな子だったっけ?」
わたしは、ひどく動揺してしまった。

わたしの持っていた長女のイメージと違う一面が
受け容れられなかった。
長女に対して強い思い入れがあったからだろう。

幼児教室の講師をしていたわたしは
講師のこどもが注目されていることを感じていたし

発達が早く、聞き分けがよい穏やかな性格の長女を
わたしは内心、自慢に思っていた。

また、「この子はわたしのことをわかってくれている」
と、母子一体感を感じて恍惚とした体験によって
長女への特別な期待感を膨らませていたのだと思う。

無条件で愛されているのは、こどもではなく親
赤ちゃんの長女はわたしに、無条件の愛をくれた。

でも、親のわたしが長女に返したのは条件付きの愛。
わたしは、長女の意地悪な一面を受け容れられず
長女に対して冷たくなっていった。

甘え下手な長女が、やっとわたしに甘えてきたのに
拒んでしまったり、心ない言動で反応してしまい
わたしは長女の心に深い傷を負わせた。

長女は、甘え上手で要領のいい次女に嫉妬して
意地悪をするようになった。

元来、心の優しい長女は、次女に意地悪してしまう
自分を止められなくて苦しんだ。

そのうち次女も、長女にやり返すようになっていき
姉妹のケンカが絶えず、家の中は荒れていった。

わたしは、姉妹2人だけにするのが怖くなって
このままでは将来、新聞の三面記事に載る事件を
起こすのではないかと本気で心配した。

それでも、ただ不安になるだけのわたし。

「意地悪したらアカン」「暴力はダメ」なんて
そんな標語を読むようなしつけをするだけでは
愛情不足になった長女の心には届かない。

次第に、次女も情緒不安定になっていった。

次女が「おやつ、ある?」と差し迫った様子で
聞いてくるようになって、貪るように食べ出したり

お小遣いを握りしめると次女は、買いたいものを探す
ために、目を血走らせて店の中へ駆け込んで行ったり

ストレスによる過食や買い物依存のような症状が現れ
次女は、家の外で大きな問題行動を起こした。

また、保育園の担任の先生から
次女が友達をいじめていることを聞かされた。

ひとりっ子として育ったわたしは
兄弟間に生まれる嫉妬などのネガティブな感情が
体感的にわかっていなかったし

幼い頃から母に嫌悪感を持っていたわたしには
こどもたちの、母を慕い求める気持ちというのが
どうもピンとこなかった。

わたしの育ってきた家庭や親子関係の経験では
子育ての役に立たなくて、手に負えなくなった。

忙しくて、あまり家にいなかった夫に
相談するようになっていった。

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