こどもたちを守らなければ!と思った時に
「テレビぐらい買うてやったらいいのに!!」
そう座敷婆に言われて、テレビを買うのは
自分の意思を曲げるようで嫌だった。
それに、座敷婆の部屋での小競り合いは
リビングにテレビがないからじゃないし。
テレビがあろうとなかろうと、こどもは
喧嘩したり、ゴネたりグズッたりする。
座敷婆は、自分の気分で、自分に都合よく
孫を可愛がりたいだけ。
そんなこと、はなっから分かってるし
座敷婆に、なんの期待もしてないのに
自分の思いどおりにいかなかったら
人のせいにして責めるの、いい加減にして。
座敷婆のねじれたコミュニケーションに
戸惑う長女を見て、わたしは決めた。
こどもたちを守るために我慢をやめる。
問題回避のためテレビの購入を考え始めたら
購読していた新聞の契約推進の営業がきた。
長期契約の景品が、なんと液晶の大型テレビ!
購読は続けるつもりだったので、渡りに船だ。
1階リビングに新しいテレビがきた。
座敷婆の望みどおりになったんだよ?!
だけど、やっぱり座敷婆は
子捕りのごとく、おやつをちらつかせて
孫たちを自分の部屋に誘うんだ。
座敷婆は、聞きわけのいい3歳の長女だけを
連れて行こうとすることもあった。
そのうち、こどもの方が賢くなったのか
座敷婆の部屋に行くことが減っていった。
こどもたちの前だからこそ我慢しない。
座敷婆語翻訳機で裏メッセージも読まない。
わたしは、座敷婆の口から出る言葉に
忠実に応えることにした。
食材の入った冷蔵庫に「何もない」と言う座敷婆。
有るのに無いと言う母の不可解さに対しては
いつでも食べ物がある状態を確保できるように
座敷婆専用の冷蔵庫を、一緒に買いに行った。
家族旅行で北海道に行く提案をした時には
「寒くて遠い北海道に、ワタシは飛行機乗ってまでよう行かん」
と言う、座敷婆の意志を尊重した。
座敷婆の部屋で、孫たちと揉めるたびに
「テレビぐらい買うてやったらいいのに!!」
と言ったならば、テレビを用意した。
座敷婆が口にしたことは、どんどん叶っていった。
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